【徹底解説】サーキット秋ヶ瀬を攻略する

みなさんこんにちは。レーシングドライバー菊池宥孝です。
僕がカートを始めたのは、埼玉県さいたま市にあるサーキット秋ヶ瀬が最初です。当時、毎週二日間の走り込みを行っていました。初めての休日練習で大クラッシュをしたり、ポールスタートでクラッシュしたり、多くの経験をしてきたコースです。
サーキット秋ヶ瀬には、SL全国大会でも上位を走るトップドライバーたちが数多く参戦します。2014年には、サーキット秋ヶ瀬をホームコースとするドライバーが、SL全国大会で3連覇を達成しました。
なぜサーキット秋ヶ瀬出身のドライバーが、他のサーキットでも速いのかと言いますと、真っすぐブレーキを踏めるコーナーが無いため、ブレーキング技術が磨かれているからだと考えられています。
今回は、カート界のモナコと呼ばれているサーキット秋ヶ瀬を攻略する方法を解説します。
そして、レーシングカートの入門書を出版しました。レース環境の作り方や、入門者がすぐに実践出来るドライビングテクニックについて解説しています。現役ドライバーならではの目線で解説していますので、カートを始めたい人、カート入門者にオススメの1冊です。
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秋ヶ瀬のコース特性はストップ&ゴー

出典元:http://www.akigase.co.jp/
サーキット秋ヶ瀬は、低速コーナーと中高速コーナーから成り立っています。1.2コーナーは、高速コーナーに感じますが、他のコースの高速コーナーと比較するとRが小さいため、中高速コーナーに分類します。
それ以外のコーナーは、「超低速の3コーナー・低速の4コーナー・低中速の最終コーナー」と、低速コーナー中心のストップ&ゴーのレイアウトです。
使われるギアも他のサーキットに比べて、非常に大きな加速重視のギアが使われます。
1.2コーナー

1.2コーナーのライン取り
ここは基本的には小回りのラインです。アクセル全開で進入します。
1コーナーではインに付きすぎず、2コーナーに楽な姿勢で進入出来るラインを選択します。もちろんアウト側は走ってはいけません。2コーナーに楽に進入出来るイン側のラインを探しましょう。
2コーナーはイン側の縁石にフロントタイヤを引っ掛けるように走ります。少し長めにクリップを取るイメージで、立ち上がりは真ん中のラインまでに抑えて膨らまないように意識します。
立ち上がりで膨らんでしまうと、戻ってくるまでのロスがあり、3コーナーのブレーキングで不安定になってしまうので、コース真ん中より外側は使わないようにします。
3コーナー

3コーナーのライン取り
2コーナーと3コーナーの間の縁石を乗り越えてからブレーキングします。
ブレーキング時はアウト側の縁石までワイドにコースを使い、サーキット秋ヶ瀬で最もRの小さな3コーナーのボトムスピードを上げます。
イン側のタイヤを落とすくらいイン側の縁石を使います。しっかりアウト側に荷重が乗っていれば、カートは乱れません。
立ち上がりの縁石は、アウト側のタイヤの内側だけが接地するくらい大きなラインで走ります。
- 超ワイドライン
- クリップ前に完全にカートの向きを変える
ことが、3コーナーの攻略法です。
4コーナー

4コーナーのライン取り
サーキット走行の基本はグリップ走行です。
しかし、サーキット秋ヶ瀬の4コーナーに限って言えば、少しスライドさせた方が速く走れます。
これが上手くいくとファストインファストアウトが出来るようになります。
やり方は、
- ブレーキングする前にハンドルを切り始める
- 初期踏力強めでブレーキングして少しスライドさせながら丁寧にブレーキリリース
- ブレーキリリースと被らせながらアクセルをジワジワ踏む
すると早めに向きを変えられて、アクセル全開のタイミングも早くなります。
イン側の縁石の内側に落とすくらい小回りです。
立ち上がりにかけてRが大きくなるコーナーなので、早めに減速して早めに加速することを意識します。
直線的に立ち上がってアウト側の縁石には乗らなくて良いラインが理想です。
バックストレート

バックストレートの縁石
4コーナーで上手く立ち上がると、バックストレートで大幅にタイムを稼ぐことが出来ます。
最終コーナーまでの間の右側の縁石は、
- 縁石に乗る人
- 縁石を避ける人
の2パターンに分かれます。
僕は真っすぐブレーキを踏みたいので、ガッツリ縁石に乗って最短距離で走りますが、全国大会3連覇の人は縁石を避けて走っています。
縁石を避けるメリットは、ブレーキング時に振り子のようにカートを振り回せるためだったり、向きを変えるきっかけを作りやすくなったりするためです。
ただ、最近のカートは良く曲がるので、真っすぐブレーキを踏めるラインの方がタイムアップに繋がります。逆に、古くて曲がらないカートなら慣性ドリフトのように振り回して向きを変えた方が良いです。
そのためなのか、最新モデルのカートを使用するドライバーの多くは、ガッツリ縁石に乗って最短距離で走って真っすぐブレーキを踏みます。
最終コーナー

最終コーナーのライン取り
最終コーナーのブレーキングでは、絶対にリアタイヤをスライドさせてはいけません。
乗っているフィーリングでは、ゼロカウンターくらいの少しのスライドが速く感じるのですが、客観的に見るとカートが減速しきれていなく、限界値の低いコーナリングになっています。
しっかり止めて、インリフトを上手に使って曲げることが出来ると速く走れます。
とりあえずスライドさせないことを意識して走りましょう。
まとめ
サーキット秋ヶ瀬が難しいと言われるのは、安定した状態でブレーキングが出来ないためです。
それでもハードブレーキングが必要なこのコースでは、
- 繊細なブレーキの初期踏力
- ブレーキ最大踏力のポイント
- 一発で向きを変える
- ボトムスピードを高く
これらを高いレベルで出来るようにならなければなりません。秋ヶ瀬のブレーキングをマスターしたらどのコースに行ってもブレーキングが簡単に感じます。
ぜひこの記事の内容を実践して、タイムアップに繋げてください。
今回の記事がみなさんのお役に立てたら嬉しいです。それではまた!
写真提供:FUKAYA 様
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https://note.com/race_hirokikuchi/m/m0b1a7a2a8f6a
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現在、FIA-F4の参戦と優勝を目指して準備をしている段階です。
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