【勝つための基礎戦略】全日本カート選手権にエントリーしたら知っておくべきポイント

みなさんこんにちは!レーシングドライバー菊池宥孝です。
今年もレーシングカートドライバーの最高峰、「全日本カート選手権」が開催されます。
F1ドライバーを目指す子供たちから、少年の頃に叶わなかった夢を追いかけるジェントルマンドライバー、はたまた僕のように20歳くらいで免許取得後から挑戦するカワリモノまで多くのドライバーが参戦する、おもしろくてハイレベルなレーシングカートレースが全日本カート選手権です。
毎年春先になると、各ドライバーたちの動向が気になってエントリーリストの発表を心待ちにしている人も多いと思います。
出るだけで満足する人が多いローカルカートレースに比べて、上級カテゴリーの関係者をはじめ、YouTube・雑誌などでも注目度が高い全日本カート選手権にエントリーする人は、経験豊富なトップドライバーが多いです。
そんな強者たちと戦うためには、戦略が必要になります。行き当たりばったりでレースに出ても勝つことは不可能です。
とはいうものの僕自身、全日本カート選手権に挑戦して大した結果を残せていません。
が!経験が浅かった分、多くの学びがあり、みなさんに伝えられることも増えました。
今回は僕が見て経験してきた、全日本カート選手権にエントリーするなら知っておくべき【勝利に繋がる戦い方】を解説します。
目次
【似ているようで大きく違う】全日本カート選手権とローカルレースの考え方

ローカルレースと全日本カート選手権の大きな違いは、路面コンディションです。
ローカルレースの路面コンディションの変化はある程度予測が立てられます。ここで勝つために必要なのは、普段の走り込みとセッティングデータの膨大な積み重ねです。
僕自身、ローカルレースのYAMAHA-SSクラスで勝つまでに、同じコースにほぼ毎週1人で通い、ドライビングからセッティングまで、あれこれ試してあーだこーだ試行錯誤していました。その成果もあって、レースを始めて1年半後にYAMAHA-SSクラス初優勝します。
しかし、全日本カート選手権の路面コンディションは、それなりの経験がないと予測が立てられません。
セッティングデータが豊富な強豪チームであれば、ある程度はセッティングで対応出来る可能性もありますが、基本的にはドライバーの乗り方で対応しなければなりません。
実際に強豪チームで走っているドライバーは、「セッティングデータには自信があるから、あとはお前の走り方でなんとかしろ」という指導法のようです。
- 強豪チームだからマシンが良いだけ
- レースで前を走るにはセッティングが何よりも重要
このような考えで出場するのは大きな間違いです。
全日本カート選手権で勝つために、ローカルレース以上に重要な能力があります。
僕に足りなかったのはこの能力です。
レースを始めてから3年目に全日本カート選手権FS125クラスにエントリーしたのですが、経験豊富なドライバーがレースウィークから乗り始めたにもかかわらず、レースで当たり前のように上位を走る姿を見て大きな差を感じました。
僕自身はレース前に2.3回、事前にサーキットで練習してある程度の走らせ方をイメージさせてからレースウィーク入りしているのに、レースウィークぶっつけ本番状態のドライバーに大差で負けてしまうのです。
彼らと自分は何が違うのか?
単純なテクニックの違いだけではないような気がしていて、この疑問は、シーズン終了までハッキリとは分かりませんでした。
しかし今だからこそ違いが分かりました。
テクニックです。笑
しかし、単純なテクニックではありません。
臨機応変に対応するドライビングと、セッティングの方向性を的確に判断する、総合的なテクニック(ドライバー力)です。
これを身につけるのは、かなりの経験が必要になってきます。
みなさんも頑張って身につけましょう。。。
とは言えません笑笑
確かにトップドライバーのテクニックを短期間で真似することは難しいです。
しかし、トップドライバーのテクニックに近づくことは十分に可能です。
では、全日本カート選手権で勝利に繋がる具体的なテクニック(知識)とはどんなものなのでしょうか?
勝利に繋がるセッティング基礎知識
全日本カート選手権のセッティングで最も大切なのはベースセッティングです。
ベースセッティングの完成度が低いと、最適なセッティングが見つかるまで時間がかかります。
練習走行が限られた時間しか確保出来ない全日本カート選手権では、
- セット出しに時間がかかる=レースに負ける
という状況が出来上がってしまいます。
これがローカルレースであれば1年間に同じサーキットで何度も開催されるため、言い方は悪いですが、「捨てレース」があっても問題ありません。(シリーズチャンピオンを狙う場合は別ですが)
しかし、全国を転戦し、サーキットによっては十分な走り込みが確保出来ない全日本カート選手権では、「いかに短時間で良いセッティングの方向性を見つけるか」が重要になってきます。
ベースセッティングで重視すべきリストは、
- シート位置
- ギア比
- エア圧
です。
これら3つの方向性を出来るだけ早く見極めなければなりません。
いきなり練習が始まってから、スタビがどうの、ハブがどうの、、、なんてやっていても時間の無駄です。
まずは、「3つの項目(シート位置・ギア比・エア圧)が、どのくらいの完成度なのか?」を確かめる必要があります。
例えば、レースの1週間前練習などに行ける人は、その時にベースセッティングの確認をすべきです。
特に、作業に時間がかかるシート位置は入念に確認したいですね。
フレームやコースにもよりますが、全日本カート選手権が開催される大きなコースは、1度決まったシート位置は変更しなくても大丈夫な場合が多いです。
そしてベースセッティングが出来上がってから、ハブやスタビライザー、ホイールなどの細かいパーツでセッティングを煮詰めていきましょう。
セッティングの方向性を、素早く精度良く見極めるための知識は以前紹介しているので、良かったら見てみてください。
【関連記事】セッティングがハマったを意図的に作り出す!タイヤを最大限に使い切ろう→https://racing-hirokikuchi.com/racingkart-setting/
トップドライバーが圧倒的に優れているドラテクとは
これまでの解説で、セッティングの方向性をいち早く見つけるのが大切だという事は分かりましたか?
勘の鋭い人は気が付いたかも知れませんが、全日本カート選手権の舞台でセッティングがハマることはほぼ不可能です。何度も走り込めて、レース路面の状況もある程度予測しやすいローカルレースとは違います。
となると重要になってくるのがドライビングです。
全日本カート選手権では、刻一刻と変化する路面コンディションに合わせるドライビングが必要になってきます。
ベースセッティングを高い完成度に合わせ込み、あとの細かいバランスは自分のドライビングでカバーする。
この双方の能力が高いドライバーが結果を残すことが出来ます。
どちらか一方が欠けてはいけません。
タイヤラバーが載って曲がりにくい重い路面になったら、どのようにドライビングするか?を解説した過去記事もあるので参考にして下さい。
【関連記事】旋回させるブレーキで重い路面を攻略する→https://racing-hirokikuchi.com/racingkart-braking/
全日本カート選手権で勝つために必要な4つのポイント
全日本カート選手権で勝つためには、
「ハマるまではいかなくとも、完成度の高いセッティングをいち早く見つける力と、コンディションに合わせた繊細なドライビングテクニック」
が必要になってきます。ポイントは、
- シート位置
- ギア比
- エア圧
のセットアップ能力と、
- 路面コンディションの変化に対処出来るドライビング
これら、セットアップ・ドライビング能力が高くなければ好成績は収められないでしょう。
経験が浅いドライバーにとって最高のお手本は、最高峰OKクラスのドライバーです。
OKクラスのスペシャルタイヤは、タイヤテストの時しか使用する事が出来ません。エンジンのライフも短いため、練習はタイヤテストとレースウィークだけというドライバーばかりです。
それでも安定して上位を走り続けるドライバーはいます。
開発競争があるためマテリアルの差はあるものの、最高峰OKクラスで安定して上位を走るドライバーたちは、セットアップ・ドライビング能力が高く、下位カテゴリーの選手にとって最高のお手本になるのです。
このブログのカート記事を見てくれている皆さんは、KT100エンジンのカテゴリーの人が多いと思います。なかには、FP-3クラスなどにエントリーしている人もいるかもしれません。
1度全日本カート選手権に行った際は、出たり観たりしてレースそのものを楽しむのも良いですが、自分のレースに活きるものを知りたいと思う人は、「KTとX30は違うから」「KTとOKは違うから」などと考えないで、じっくりトップドライバーの走らせ方を勉強しましょう。
KT100もOKクラスも、車重・エンジンパワー・グリップが違うだけの同じレーシングカートです。
「このドライバーに注目してきたけど、昨日から走行ラインが変わってきたな」などとドライビングの変化が分かるようになると良いですね。
全日本カート選手権を目指す人が、ドラテクとセットアップ能力を磨くためにオススメの記事を3個絞り込みました。気になる人は見てみてください↓
写真提供:久家 様、FUKAYA 様
よろしければご覧ください
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