【リベンジなるか?】FIA-F4 富士スピードウェイ Rd.10~12 レースレポート【2020年ラストレースです!】

みなさんこんにちは!レーシングドライバー菊池宥孝です。
今回は、11月28.29日に開催された「FIA-F4富士大会Rd.10~12」のレースレポートになります。動画版もありますので、よかったらそちらの方もご覧ください。↓
レース前に練習走行は出来ませんでしたが、富士スピードウェイは開幕戦で走っているうえ、今年度最多の練習走行をしていたため、今までの反省点を全て生かせれば上位で戦える可能性は十分にあると感じていました。
しかしそんなに上手くいくわけでもなく…といったレースウィークになりました(笑)。
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目次
公式プラクティス1~4回目
公式プラクティスを振り返ると、序盤のペースが悪くタイムを出すまでに時間がかかってしまうことが多かったです。
速いドライバーたちは、セッション序盤や赤旗再開後でも、2.3周ですぐにベストラップに近いラップを刻めているのに対し、僕はベストラップ付近のタイムを出すまでに5.6周くらいかかってしまっているうえに、1周をまとめきれないことでタイムが出せませんでした。
プラクティス1回目と4回目ではスロットルのトラブルが発生し、ピットインや1周近くスロー走行した後のアタックラップでタイヤを発熱させるのに苦労しました。これは、ウィービングによる発熱の問題ではなく、レーシングスピードで走行中のドライビングが大きかったです。
また、1周をまとめきれないことに関しては、単純にドライビングスキルの問題ですので、コツコツと改善していくしかありません。
ただ今回の公式プラクティスでは、今まで以上に速いドライバーの後ろで学ぶ周が多く、非常に良い収穫になりました。この経験を今後のドライビングに活かします。
公式プラクティスのタイム変動
- 1回目:1:47.220(+1.673)
- 2回目:1:46.530(+0.960)
- 3回目:1:46.456(+0.870)
- 4回目:1:47.050(+1.402)
前回のレースの予選では、0.6秒落ちだったことを考えると、タイム差が広がってしまいました。難しい。。。
予選
ベストラップ29位 1:48.110(+2.375)
セカンドベスト33位 1:50.598(+4.832)
開幕戦同様にトップ集団の中でスリップを使おうと考えましたが、序盤のペースが上がらず置いて行かれたため、1周待ってからトップ集団に入りました。
しかし、集団の中でアタックラップの準備をしていたタイミングで、マシンがシャットダウンしてしまうトラブルが発生しリタイア。
原因は、内部センサーがショートしたことによるマシンの強制シャットダウンでした。こればかりは予測出来ないトラブルなので残念でしたが、これもレースの一つだと思います。
自分自身の課題点としては第一に、トップ集団に置いて行かれた後の対応が悪かったです。ダラダラと1周遅れになるのを待ったことによって3.4周くらい無駄に低速走行をしてしまいました。
レース1(Rd.10)
29位→8周リタイア
※予選タイヤ
後方の29位スタートだったものの、3ワイドになるバトルが多く、オープニングラップは積極的にオーバーテイクを仕掛けられませんでした。しかし、前方で多重クラッシュが発生し、その混戦を上手く潜り抜けたため、オープニングラップで19位までポジションアップしました。
多重クラッシュのセーフティーカーラン明けでオーバーテイクし、前方で3台のクラッシュもあったため、7周終了時点ではポイント獲得が狙えそうな13位まで順位を上げます。
しかし、9周目にBコーナーのブレーキングで前車をオーバーテイクしようとした際に、タイヤをロックさせてしまい前々車に追突。マシンは大きく破損してしまいリタイア。
追い上げていたレースを台無しにしました。自分のミスで巻き込んでしまったドライバー・チーム関係者様、申し訳ございませんでした。
レース1の課題
予選の赤旗もあり、上位勢は荒れたレース展開になると予想していました。予想通り荒れた展開で楽に順位を上げられましたが、自分自身もブレーキングミスでその一員になってしまいました。
原因はいくつかありますが、状況の把握が不十分だったと思います。
他のクラッシュも同じようなクラッシュだったことを考えると、ラインを外した際のグリップダウンが大きかった可能性が高いです。
そして、周りにどんなドライバーが走っているのかをあまり意識していなかった間違いでもあります。もちろんフロントタイヤをロックさせてしまった自分のドライビングエラーも改善すべきです。
今回は、僕自身の悪い部分が全て出たクラッシュでした。
レース2(Rd.11)
33位→10周リタイア
※NEWタイヤ
レース1の大きなクラッシュの後、メカさんの懸命な作業によって短時間で修復が終わり、なんとかレースに間に合わせられました。
クルマ自体は大きな問題なく走れましたが、アウトラップからマシンのグリップ感に違和感があり、レースが始まってからも改善しませんでした。
途中、フロントタイヤの発熱の問題かもしれないと思いウィービングを繰り返しましたが、あまり変わらず…
中高速コーナーは問題ないように感じましたが、低速コーナーが思わしくなく後方から抜け出せませんでした。
レース終盤になってもフィーリングが改善せず、下位に沈みっぱなしで、前の方も荒れた展開でセーフティーカーが入る気配もしなかったため、一度ピットインしてクルマの良い部分と悪い部分をメカさんに伝え、そのままリタイアしました。
ただ、走れないままリタイアするより走ってリタイアする方が良かったので、短時間でレースに送り出してもらえたことに感謝しかありません。
その後メカさんが、短時間の修復作業で出来なかった細かい調整までしてくれたので、レース3は全く問題なく走れました。
レース3(Rd.12)
17位→15位
トータルラップ 25:08.555(+17.996)
ベストラップ 1:46.092(+0.658)
※レース2使用タイヤ
午前8時スタートのレースだったので、かなり気温が低くタイヤの温まりが悪かったです。
1周目は無難にバトルをし、2周目に前方で3台が接触し13位まで浮上しましたが、その際に失速してしまったことによって、前方の集団との差が開いてしまいます。
その後、後方から追い上げてきた2台に抜かれました。
追い上げてきた2台には頑張って付いていけるコーナーもありましたが、時々ミスをして離れたり、いくつかのコーナーが遅れて離されるといった展開で、単独走行になってそのままチェッカー。
前方の集団には、5秒差から3.4秒差まで追い上げることしか出来ずに終わってしまいました。
レース3の課題
ドライビングの精度が悪く、0.2秒セクタータイムを落とすことが何度かありました。それをキッカケに抜かれた速いドライバーとの差が大きく広がってしまい、スリップ圏外になり付いていけませんでした。
僕がやってしまいがちなミスも同じようなものが多く、遅いコーナーも抜かれたチームメイトと比較して分かりやすく遅れていたのは、これからの課題克服に向けては良かったことだと思います。
もっと上のレベルに行くためには、レースウィークを通してのドライビングの幅と対応力を広くして、セットアップの方向性をハッキリ持つことを強く感じました。
セットアップの方向性に関しては、抜かれたドライバー2人の特徴からもある程度は推測出来ました。今後のレースに活かします。
レース3を終えてみて良かったこと
公式プラクティス2回目と比較して、セクターベストを繋ぎ合わせた際の理論ベストとのギャップは縮まりました。(2回目の理論ベストが-0.3秒、レース3が-0.1秒)
つまり、改善の余地はあるものの、1周をまとめきれないことは少しづつですが改善出来てきたということです。また、ファステストラップとのタイム差も縮まったので良かったです。
富士大会の反省点と今後の取り組み
今回の富士大会では、急なイレギュラーが発生したときに、悪い方向に流れを持って行ってしまったことが大きな反省点になりました。
練習走行のトラブルでアタックを中断した2セッションとも、20番手タイムと下位に沈んでしまったのは、再スタート後にペースを戻すのに苦労したからです。
上位勢は、タイヤが冷えているときでも速く走れていたので、その部分は克服していかなければいけません。
また、ベストラップを決めに行く周でミスが起きてしまうドライビングの精度も反省点です。そして、公式プラクティスからの組み立てを工夫したつもりでしたが効果が今一つだったので、また工夫していきます。
今後は、さらに伸びしろがあるレースウィークにするために、豊富なドライビングの引き出しと、ドライビングやセッティングの対応力を磨いていく必要があると考えています。
2020年を通しての課題と今後の取り組み
2020年を振り返ると、前半戦と比較して後半戦で成績が下降してしまいました。後半戦はトラブルによって満足に走行できないこともありましたが、それ以上にレースウィーク中の対応力が不足していたことが大きな敗因だと思います。
そして、自分自身の資金的な問題で、レース前テストの機会を作れなかったことも改善しなければなりません。これもドライバーの実力です。
好成績を出すためには、レースウィークまでにドライビングとベースセッティングはある程度のレベルに到達させておかなければいけません。リザルトを残せるドライバーたちとの差もよく分かりました。
そのため、「資金を用意する、または彼らに挑むためにはどうすれば良いか?」を考える必要はあると思います。
そこで2021年は、「練習量を確保してレースに出る環境」を作るために活動していこうと考えています。1戦限りのスポット参戦か?フルシーズンの参戦か?は未定ですが、上位で戦えるように活動していきます。
FIA-F4で欲しいのは、レースに出るだけではなく表彰台です。もちろん優勝したいですが、まずは表彰台を狙える力を付けます。
もちろんFIA-F4だけではなく、他のレースに参戦して経験を積む可能性だってありますし、何にも乗れなくなる可能性もありますが、これで人生が終わるわけではありません(笑)。
おわりに
2020シーズンのFIAF4は2か月間の短期決戦となりましたが、多くの濃い経験を積むことが出来ました。
ドライバーとしても1人の大人としても、多くの学びがあり成長出来たと実感しています。
経験豊富なドライバーや、カート時代から速さの際立っていたドライバーたちとレースで戦うのは、楽しくて厳しかったですが充実したレースウィークでした。スーパーFJよりも僅かなタイム差の中で戦うのは本当に刺激的です。
また、FIAF4は、今まで乗ってきたカテゴリーとは違う難しさがありました。
セットアップの評価をする際に、エンジニア・メカさんに何が起きているのかを正確に伝えることや、トラブルが起きた際に即座にコース上で対応したり、短時間の再アタックでしっかりタイムを出したりなど、そういったことに臨機応変に頭を使うのも今まで以上にハイレベルであり、トップカテゴリーでも生きてくる経験と感じて面白かったです。
そして、いつも真摯にメンテナンスしてくださったメカニックのみなさん、ドライバーとして未熟な自分を高めてくれたチームスタッフのみなさん、本当にありがとうございました。
ATEAM Buzz Racingで戦えて良かったです。もっとハイレベルなドライバーに成長出来るようにこれからも改善を積み重ねていきます。
また、スポンサー様をはじめとする皆様から頂いた応援は、僕の大きな力になりました。1年間ありがとうございました。お疲れ様でした。
来年に向けて悔いが残らないように精一杯活動していきますので、引き続き応援よろしくお願いいたします!
ATEAM Buzz Racing/#32 Kikuchi Hirotaka
スポンサー・協賛企業様
【個人パートナー】
【個人各種協賛】
- ムーンムーン株式会社 様→目覚めに欠かせない光目覚まし時計
【個人レーシンクギア各種協賛】
- アウティスタ 様→2020年のレーシングスーツを作りました
- アクセル有限会社 様
- ファストルックス 様
- Dr.Dry 様
【チームパートナー】
- 株式会社エイチーム 様
- GOLFSPARK 様
- 株式会社アドバンス 様
- MIE Route1 Circuit 様→イベント等、よくお世話になるレンタルカート場
- エースコンディショニングスタジオ 様
- 有限会社イルヴェント 様
- アクセル有限会社 様
写真提供:南 博幸 様、fumiya yamasita 様、ATEAM Buzz Racing 様
このサイトの運営者である、レーシングドライバー菊池宥孝は2021年もFIA-F4選手権の参戦に向けて準備を進めております。しかし予算面で諸事情があり、2021年シーズンは何も決まっておりません。
現在、FIA-F4の参戦と優勝を目指して準備をしている段階です。
よろしければ【2021年度のレース参戦企画書】をご覧いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。