初心忘るべからず

【動画解説】なぜマカオ・グランプリでF3の大クラッシュが起きたのか?

 
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みなさんこんにちは。 レーシングドライバー兼レーシングブロガーの菊池宥孝です! 僕は7歳から20歳までサッカー少年でしたが友人の影響から、「レーシングドライバーになりたい!」と強く思うようになり、2015年からレースの世界に足を踏み入れました。 3年間レーシングカートで着実にステップアップをして、2017年には全日本カート選手権にもシリーズ参戦。 2018年から、スーパーFJで四輪デビューして、岡山国際サーキットシリーズを中心に戦っています。 【通算成績】 レーシングカート:3勝 スーパーFJ:2勝 2018スーパーFJ岡山シリーズ:ランキング2位 2018スーパーFJ日本一決定戦:7位/32台 「初心忘るべからず」「常に謙虚で満足しない」事をモットーに時代を変える最強最速のドライバーを目指しています。 応援よろしくお願いします!!
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みなさんこんにちは。レーシングドライバー菊池宥孝です。現在僕は、スーパーFJというフォーミュラカーレースに出場しています。

毎年非常に楽しみにしているマカオGP F3世界一決定戦ですが、2017年はトップ2台が最終ラップの最終コーナーでクラッシュ。世界中が発狂したことでしょう。

しかし昨年に引き続き、今年もマカオで大きな事故が起きました。それは、「大クラッシュ」です。

2017年のクラッシュを「ドラマチックなクラッシュ」と例えるなら、2018年のクラッシュは「死亡事故につながる大事故」でしょう。

生中継を見ていた僕は背筋が凍り付きました。中継の背景に何かが空を飛びながらものすごい音と勢いで壁に衝突したように見えたからです。まさに“ミサイル”でした。

マカオF3のクラッシュ画像

出典元:BSフジ

その後、マカオGPの中継では、映像が全く流れてこなかったため、非常に心配になりSNSで誰かアップしていないか探したところ、観客席側からの映像がアップされていました。

それを見て僕は、「ダメかもしれない」と思いました。なぜなら、ドライバーの頭部から壁に衝突していたからです。

今回はクラッシュの原因を動画を交えて解説します。

 

レーシングドライバー菊池の原因予想

クラッシュの原因なのですが、映像を見ただけだと分かりませんでした。

映像では、

  1. ソフィア・フローシュ(ファン・アメルスフールト・レーシング)が制御不能で後ろ向きのままイン側をすり抜け、前方にいた坪井選手(TOM’S)に衝突。
  2. 縁石と坪井選手をジャンプ台にして浮き上がり、高速でマシン上部から壁に衝突。

という部分しか分かりませんでした。

「ものすごい速さで衝突していること」、「映像の前の段階からコースサイドに衝突している音が聞こえること」から、おそらくブレーキング開始時か、その前からバランスを崩して後ろ向きになっていたと考えました。

この時点では、

  • ブレーキトラブルで止まれなかった。
  • バトルで接触があった。

のどちらかだと思いましたが、バトルで接触したならもっと遅いスピードでクラッシュしたと考え、「セーフティーカーラン開けのタイミングであること」、「高速で衝突したこと」からブレーキトラブルで間違いないだろうと思っていました。

 

マカオF3大クラッシュの原因

レース後に、後ろで見ていたドライバーからのコメントで全てが分かりました。

同じくマカオF3に参戦していた日本人ドライバー大湯選手によると、

クラッシュしたソフィア・フローシュはストレートでダルバラ(カーリン)とバトルをしていた際に、イエローフラッグでダルバラが減速、そこにソフィア・フローシュダルバラの右リアタイヤに乗り上げる形で接触。そのまま制御不能になり後ろ向きで坪井選手に衝突し宙を舞った。という形になってしまったそうです。

 

クラッシュ動画

 

なぜあれほど飛んでしまったのか?

これは、フォーミュラカーであるために起きてしまった現象です。

今回クラッシュしたF3マシンは、進行方向から車体に当たる気流を利用して、車体を地面に押し付けて曲がっています。俗にいう、「ダウンフォース」です。

身近な例で例えるなら、飛行機が離陸する速度が240~300㎞です。F3マシンも300㎞近く出ています。離陸時の力は上方向に向かっていますが、その力を下方向に使っているのがF3マシンをはじめとする、フォーミュラカーです。みなさんが飛行機に乗って離陸するときの力を地面に向かって使っているのですから、ものすごいグリップを得ることが出来ます。

ソフィア・フローシュはストレートで接触した際に何らかの形で後ろを向いてしまいました。その時速は、なんと276㎞。進行方向の後ろを向いたということは、気流が設計時の想定とは真逆の方向を向いていることになります。

550㎏程のマシンが276㎞で飛行機の浮力を得ているのです。

すると、どうなるか?

飛行機の離陸時と同じ現象が起きますよね?

クラッシュ動画のスローモーションカットを見ると分かるのですが、ソフィア・フローシュのマシンは浮きながら坪井選手のマシン上部に衝突しています。

ソフィア・フローシュのマシンが後ろ向きで壁際を走っています。

②黄色のマシンの坪井選手にぶつかる直前、車体後方から浮き始める。

坪井選手に衝突した瞬間。先ほどよりも車体後方が浮き上がっている。

坪井選手をジャンプ台にして飛ぶ。

という流れです。真後ろを向いて、浮いた状態でブレーキが効かないまま衝突したのです。その恐怖は、容易に想像出来ます。

 

防げなかった事故なのか

2018年のマカオGPと似たようなクラッシュは日本でも起きています。

2017年のFIA-F4でイエローフラッグで減速中の車に後ろから衝突し、横転するクラッシュが起きました。

こういった事故は、

  • 前方を走っていた車の急減速。
  • 後方を走っていた車の前方不注意。
  • 予測不能な緊急事態が起きた。

によって起きる可能性が高まります。

今回のクラッシュのオンボード映像が出てきていないため何も言えませんが、超高速で走るレーシングカーに乗る以上、レース中、常に集中して周りの状況にも注意していないと、命の危険にさらされることでしょう。

これから、FIAの調査が入ると思われますが、これほど大きなクラッシュは偶然起きるものではありません。何かしらの原因があることでしょう。

僕自身、自分の不注意で大きなクラッシュを起こしてしまったことがあります。それは、レースのスタートで後方でスタートに成功した選手に気づけずに行き場を失くしてしまったことによるクラッシュです。

レーシングカートからステップアップしたばかりの僕は、スピード感の遅いスーパーFJでどこか緩い状況判断をしていました。しかし、スピード感は遅くても、実際には200㎞以上出ているので大きなクラッシュになりやすいのがフォーミュラカーです。

このクラッシュから、「常に周りの状況を確認しながら走る」という意識を持っています。こう言ってしまうと「前を見ていないんじゃないか」と言われるかもしれませんが真逆で、混戦のバトルを優位に進められる技術に繋がりました。

スーパーFJ岡山チャレンジカップ第5戦

出典元:Motorsports Forum

 

まとめ

今回のマカオF3のクラッシュでドライバー、マーシャル、日本人カメラマンを含む5名が負傷しましたが、全員命に別条はないとのことです。

不幸中の幸いなのか、

  • マシンの一番頑丈な部分(ドライバーの頭上)から衝突したこと。
  • マシンが直撃したところが建物ではなく、仮設のカメラマン席だったこと。
  • マシンが人に直撃しなかったこと。

が犠牲者が出ずに済んだ理由だと考えます。

どれか一つでも悪い方向に行ってしまったら確実に犠牲者が出てしまったでしょう。僕自身、激しいバトルが好きなのですが、不注意による事故はしないよう常に広い視野を持ってレースをするようにと身が引き締まりました。

今回の「大クラッシュ」や「2019年から変わる車両規格」によって伝統あるマカオGPが開催されなくなる可能性があります。来年以降もマカオGPが開催されることを願っています。

 

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レース動画

フル動画

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