【実践編】雨量と気温に合わせたカートのレインセッティング

みなさんこんにちは!レーシングドライバー菊池宥孝です。
今回もレーシングカートのレインセッティングについて引き続きやっていきます。
雨の日を走る際、みなさんはどれくらいセッティングを変更しますか?
以前にも少し解説しましたが、レインコンディションのセッティングは幅が広いため、一概に「これが正解!」とは言えないのですが、雨量と気温によってセッティングは変わってきます。
コンディションやコースの違いによってセッティングが変わってくるのは、ドライコンディションでも同じですが、レインコンディションの方が幅が広く正解に辿り着くのが難しいと僕は感じています。
実際にレインコンディションでのレースは、ドライ以上にタイム差が付きやすく、誰もが「もっと良いセットがあるのでは?」「違うライン取りを試さなければ」などと、試したいことが多くなり、結果的に全てを試すことが出来ずに多かれ少なかれモヤモヤしたままレースや練習を終える人がほとんどです。
そこでの迷いを必要最低限にするためにベースセッティングがあり、さらにそこからコンディションやコースに合わせてセッティング調整をしなければいけません。
今回は、レインコンディションのベースセッティングがある程度出来上がっていることを前提として、雨量と気温に合わせていくためのコツを解説します。
◆雨のベースセッティングについてはこちらから→https://racing-hirokikuchi.com/racingkart-rainsetting/
気温に合わせたレインセッティング
まずは、気温に合わせたセッティングについて。
気温に合わせたセッティングで一つの目安になるのがタイヤの温度になります。
タイムが出ているドライバーは、走り終わった後にタイヤの表面から、もわ~っと湯気が出ていることが多いです。
まれに、発熱していなくてもタイムが出ることもありますが、タイヤの表面温度は手で触った際に少し温かみを感じる温度くらいは欲しいです。温度を計測したことはないのであいまいな数字ではありますが、約25℃~38℃くらいだと思われます。
気温がだいたい15℃以下なら、タイヤが発熱していなければ湯気は出ません。夏場以外は、湯気が出ているかどうかを空気圧の基準にしても良いでしょう。
実際に僕が練習していた時の話ですが、雨から雪に変わりそうな真冬のレインコンディションで走っていた時、通常のレインタイヤの空気圧1.1~1.5では全くグリップしていませんでした。
試しに2.0に上げましたが、ほとんど変わらず滑りまくります。
周りのドライバーたちも同じような症状が出ていて、通常のターゲットタイムからは大きく遅れていました。
そこで、一緒に走っていた人から、「乗用車のタイヤはエア圧4.0くらいは大丈夫だから、アリだよね!」と、市販のラジアルタイヤとカート用タイヤを同じものだとする謎理論を展開され、なぜか納得した僕は空気圧を4.0にしてみました。笑
するとどうでしょう。
めちゃくちゃグリップするじゃないですか。
余裕のトップタイムです。
温まる気配のしなかった表面温度も、もわ~っと湯気が出るくらいまで発熱し始めました。
おそらく空気圧4.0を試す人なんてまずいませんよね?この日は練習走行日だったのもありますが、誰も試さないであろうことをやってみると答えに近づくこともあります。
ちょっとやりすぎな例でしたが、時にはこんなテストも効果的です。
逆に、空気圧0.8など、「レインタイヤとしては低すぎるのではないか?」と思われる空気圧が良い場合もあります。
空気圧は気温以外にも影響を受けるので、特にデータが揃っていないコースを走った際は、【高め・低め】双方を少し大きな調整幅で試すことをオススメします。
この、「大きな調整幅で試すこと」。実際にこれが出来ていない人が多いです。
別に一回失敗したくらい問題ありません。練習走行ならなおさらです。
良いタイムで終われたら気持ち良いですが、収穫や課題を得て終わるのは、もっと気持ち良いので積極的にチャレンジしていきましょう。
雨量に合わせたレインセッティング
みなさんは雨量が多い時と少ない時で、セッティングを変えていますか?
本気でタイムを出しに行くのであれば、雨量の変化に合わせてセッティングは変えるべきですし、「気温が低くてグリップしないから空気圧4.0」なんて、おかしなことも必要ありません。
セッティングとは、「狙いを持って理論的に改善させるもの」だと僕は考えています。
初心者の人に良く見受けられるのが、狙いのない当てずっぽうなセッティング変更です。「タイムが上がったから良かった」ではなく、「インリフトさせる狙いを持って変更したら、クリップ付近でインリフトしやすくなって曲がるようになった」という振り返りが出来なければいけません。
この視点からもう一度気温が低い時の空気圧4.0が良かったことを振り返ると、「空気圧4.0が良かったけれど、本来の基準値に近い値でもグリップさせられた方が良いから、セッティング変更でも対応してみよう」と発想を切り替えることが出来ます。
ここからは、雨量と気温(グリップレベル)に合わせたレインセッティングの方向性について詳しく解説していきます。よかったら見てください。ではまた~!
目次紹介
- 雨量に合わせたセッティングの考え方とは?
- 【セットアップ実践講座】雨量と気温に合わせよう
- 実践編#2に続く…
◆続きは…
【実践編#1】雨量と気温に合わせたカートのレインセッティング→https://note.com/race_hirokikuchi/n/n76f09b324139
写真提供:久家 様
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