【レーシングカート】セッティングがハマったを意図的に作り出す!タイヤを最大限に使い切ろう〜前編〜

みなさんこんにちは!レーシングドライバー菊池宥孝です。
レーシングカートで、「タイヤがグリップしない」「周りよりコーナリングスピードが遅い」技術的に同じレベルの2人が、このような状況で差がついた場合、考えられるのはセッティングの違いです。
全日本選手権などレベルの高いレースになると、前回のレースは上位を走っていたのに、今回のレースは下位に沈んでしまうドライバーを見かけます。
流石に、高いレベルでレースをしてきたドライバーが急に下手になることはありません。それなのに下位に沈んでしまう原因は、マシンの戦闘力不足。すなわち、セッティングが合っていない、またはマシンにトラブルを抱えている場合に起こります。
これら2点は、仕方がない状況ではありません。しっかりとレーシングカートについて理解していれば、事前に対策が可能な状況です。
今回は、セッティングがハマった状態を意図的に作り出すために必要な知識を、前編と後編に分けて解説していきます。
目次
グリップを増加させるセッティングの基本
理論的にグリップを増加させるには、タイヤへの入力を大きくする必要があります。
そのためには、
- タイヤがつぶれるセッティング
- ドライバーがタイヤに荷重を乗せやすいセッティング
にする必要があります。
ハブ剛性
硬いハブは、タイヤへの入力が大きくなります。
レースでは柔らかいアルミハブから、硬いマグハブに変更するのが一般的ですが、
- 柔らかめのマグハブ
- 硬めのマグハブ
- 肉厚のマグハブ
- 肉薄のマグハブ
など、多種多様なマグハブが存在します。
代表的なトニーカート純正のOTKマグハブは肉厚で少し柔らかめのマグハブです。幅広いコンディションで使えて、マグハブでありながら、マイルドな乗り味になります。
アルミハブとマグハブの乗り味の違いは、アルミハブの方がマイルドに粘り、マグハブはシャキシャキとグリップします。
多分この説明が伝わる人は少数なので、丁寧に説明すると、柔らかいアルミハブはピークグリップに達するまでが穏やかで、硬いマグハブはピークグリップに達するまでが早いです。
マグハブを付けてリアが軽くなったと表現するのは、ピークグリップを少し超えて滑り出しやすくなるために、リアが軽くなったとドライバーに感じさることから起きています。
ロングハブ
ロングハブは基本的にはレインコンディションで使用します。ただ、滑りやすいドライコンディションで使用する場合も稀にあるので、頭の片隅には置いておきましょう。
ロングハブにすることで、ハブの重量と剛性が上がり、タイヤへの入力が大きくなります。
ただ、全体的に動きが重くなって旋回性が落ちてしまうことがウィークポイントなので、滑りやすい路面以外に出番は来ません。
- アルミロングハブ
- マグロングハブ
がありますが、ハブ剛性の解説と同じく、アルミロングハブよりもマグロングハブの方がタイヤへの入力が大きくなります。
スピンドル(ナックル周り)剛性
僕が乗っていたカートはスピンドルを交換出来るメーカーだったので、その部分を変えることでフロント周りの両端の剛性を変化させていました。
他メーカーのカートでは、ナックルごと変えるタイプがあります。
ナックル周りを硬くすることで、タイヤへの入力が大きくなりフロントタイヤを潰すことが出来ます。
しかし、この部分はタイヤへの入力以外にもフロントの沈み込み具合、すなわち車高バランスにも影響するので、マシンのトータルバランスで考えていく必要があります。
ホイール剛性
ホイールにも、硬いホイールと柔らかいホイールがあります。純正のホイールは少し柔らかめのマグホイールで、オプションまたは社外品で硬いマグホイールがあります。
こちらも硬いほどタイヤへの入力が大きくなり、グリップが増します。
硬さ以外にも、タイヤの中に入る空気の量が変わってくるので、「タイヤがどれくらい温まりやすいか?」もホイールを選ぶうえで大切になってきます。
エア圧
タイヤのエア圧を上げることによっても、タイヤへの入力は大きくなります。
しかしタイヤの場合、エア圧を上げることで接地面積が少なくなり、グリップがしなくなる状況にもなり得るため、接地面積と接地圧の最適なバランスを見つけていく必要があります。
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グリップを増やすためには
ここまでの話を整理します。タイヤのグリップを上げるためには、タイヤへの入力を大きくする必要があります。
- 硬いハブを付ける
- ロングハブを付ける
- スピンドル(ナックル周り)を硬くする
- ホイール剛性を上げる
- エア圧を上げる
ことによってタイヤへの入力は大きくなります。もし、グリップしないという症状が出るときは、これらのセッティングを試しましょう。
冬場はエア圧を下げましょう
今回紹介したようにタイヤの入力を上げるだけでグリップが上がるわけではなく、タイヤと路面に合わせたコンディションに合わせた最適なセッティングにしなければ速く走れません。
これが理解出来ていないと、いくらセッティングを試しまくっても、「たまたまハマった状態」の時しか速く走れずレースで安定した成績を残すことは出来ないでしょう。
後編の具体的な解決方法は、キクブログnextで解説しますが、みなさんがすぐに試せることを少しだけ紹介します。
タイヤをグリップさせるには、タイヤへの入力を大きくする必要があると解説してきました。
しかし、タイヤへの入力を大きくしても、最適なタイヤ剛性と入力の大きさを見極められなければ、タイムを出すことは出来ません。そのために大切なのが、「タイヤと路面とセッティングを知る」ことです。
例えば、冬場(3℃くらい)の滑りやすい路面の時、
- 標準よりエアーを上げる
- 標準よりエアーを下げる
どちらが、グリップすると思いますか?
正解は、エアーを下げる方がグリップします。
これが今回のポイントです。
「寒い時ほど、エアーを上げて発熱させるんじゃないの?」と言う人がほとんどだと思うので、これから分かりやすく根拠を出していきます。
まずは、寒い路面でエア圧を高くしないとグリップさせられない人はテクニック不足です。発熱させられないのだから、エア圧を高く設定する必要が出てきます。そういう人は、冬場でも低めのエア圧で乗れるように練習しましょう。
「なぜ、冬場は低いエア圧が良いのか?」については、キクブログnextの方で解説します。内容としては、
- グリップしない路面の対処法
- グリップする路面の対処法
- 最適な潰れ具合を作り出す具体的なセッティング例
- タイヤが変形しない方向性のセッティング
- タイヤが変形する方向性のセッティング
- タイヤを理解する
- レースで使えるセッティング例
- グリップが高い路面のセッティング
- グリップが低い路面のセッティング
- まとめ
を解説します。セッティング例と考え方がメインの記事で、レースで優勝するためには必要不可欠な知識です。興味がある人は見てみてください。キクブログnextは、読者さんが読みながら徐々に上達するように作っています。「もっと深くレースの知識を知りたい」「上級者になりたい」と考えている初心者や中級者の人にピッタリです。
▼続きはこちら▼

→https://note.mu/race_hirokikuchi/n/ne4de520164ad?magazine_key=m0b1a7a2a8f6a
ご覧いただきありがとうございます。ではまた!
写真提供:FUKAYA 様、飯田 様
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