初心忘るべからず

【マカオ・グランプリ】圧勝したダニエル・ティクトゥムのドライビングテクニック

 
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みなさんこんにちは。 レーシングドライバー兼レーシングブロガーの菊池宥孝です! 僕は7歳から20歳までサッカー少年でしたが友人の影響から、「レーシングドライバーになりたい!」と強く思うようになり、2015年からレースの世界に足を踏み入れました。 3年間レーシングカートで着実にステップアップをして、2017年には全日本カート選手権にもシリーズ参戦。 2018年から、スーパーFJで四輪デビューして、岡山国際サーキットシリーズを中心に戦っています。 【通算成績】 レーシングカート:3勝 スーパーFJ:2勝 2018スーパーFJ岡山シリーズ:ランキング2位 2018スーパーFJ日本一決定戦:7位/32台 「初心忘るべからず」「常に謙虚で満足しない」事をモットーに時代を変える最強最速のドライバーを目指しています。 応援よろしくお願いします!!
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こんにちは!現役レーシングドライバーの菊池宥孝です。

みなさん、「2018年マカオグランプリ F3世界一決定戦」は観戦しましたか?

結果から言うと、完璧なレース運びをしたダニエル・ティクトゥムのポールトゥウィンで終わり、来年度日本のスーパーフォーミュラに参戦するのが非常に楽しみに感じました。他にもソフィア・フローシュの大クラッシュは世界に衝撃を与えましたね。

レースを見た方は、ダニエル・ティクトゥムを「ハンパない!」と感じた方が多かったのではないでしょうか?

完璧すぎてオーバーテイクなど派手なドライビングはなかったものの僕は、テレビを見ていて「野性的で感覚が冴え渡っている」ドライバーだと感じました。

そこで今回は、ダニエル・ティクトゥムに焦点を当て、彼がマカオGPで圧勝しF3世界一に輝いた理由を、現役レーシングドライバーの視点から考えていこうと思います。

※僕は今、スーパーFJというフォーミュラカーレースに参戦しています。良かったら、僕のレースレポートも覗いていって下さい。

 

計算通りのフリー走行

M・シューマッハ(左)とD・ティクトゥム(右)

2018年タイトル争いを繰り広げたM・シューマッハ(左)とD・ティクトゥム(右) 出典元:BSフジ


15日に行われたフリー走行1回目は、1位がミック・シューマッハ(2分12秒168)、ダニエル・ティクトゥムは(2分12秒400)で4位でした。

その後の予選1回目では、1位はダニエル・ティクトゥム(2分11秒004)、ミック・シューマッハは(2分11秒433)で3位となりました。

16日のフリー走行2回目、1位がミック・シューマッハ(2分10秒674)、ダニエル・ティクトゥムは(2分10秒975)で5位でした。

 

決めるところで決めた予選

16日に行われた予選2回目、1位はダニエル・ティクトゥム(2分9秒910)、フリー走行2回目でも1位だったミック・シューマッハは(2分11秒382)で9位となりました。

僕は、フリー走行で抑えつつも、予選ではきっちり1位を獲ってくるあたりに余裕を感じました。特に、予選2回目は黄旗や赤旗に翻弄され、周りがタイムを出せない中、1人だけ関係なくコースレコードを更新する走りからぶっちぎりで1位を獲得しました。

 

落ち着いて1位奪還した予選レース

ダニエル・ティクトゥムはスタートダッシュに成功し、2番手を引き離して1コーナーに進入しました。

しかし、長いストレート区間でスリップストリームを上手く使った、カラム・アイロットがストレートで並びます。そして、リスボアコーナー出口でスポンジバリアに接触しながらもトップに浮上、ダニエル・ティクトゥムは2番手に後退します。

それでも、1周目からペースが速かったダニエル・ティクトゥムは2周目のストレートでカラム・アイロットと並び、リスボアコーナーのブレーキングでトップに浮上しました。

3周目には2番手をスリップストリーム圏外にまで引き離します。その直後、コース上に犬が迷い込み、フルコースイエローになり、セーフティーカーランとなりました。

5周目からレース再開。ダニエル・ティクトゥムはスタートラインまでに後続を大きく引き離し、余裕を持ってリスボアコーナーまで到達。その後は安定したペースを保ち、1.563秒差でトップチェッカーを受けました。

 

完璧な決勝レース

表彰式で喜ぶダニエル・ティクトゥム

出典元:BSフジ

決勝レースもダニエル・ティクトゥムは良いスタートを決めましたが、2番手のジョエル・エリクソンも良いスタートを決めました。2台はリスボアコーナーまで並走します。さらに、後方で素晴らしいスタートを決めた、サッシャ・フェネストラスも襲い掛かります。

しかし、イン側を守り抜いたダニエル・ティクトゥムがブレーキロックしながらも、リスボアコーナーをトップで通過。順位をキープします。続いた後続車両たちが多重クラッシュしたため、1周目からセーフティーカーランに入りました。

4周目からレース再開。またしてもダニエル・ティクトゥムはスタートラインまでに後続を大きく引き離し、余裕を持ってリズボアコーナーを通過しました。その直後、のちに世界中で大きく話題になった大クラッシュが起きました。

コースの破損も大きく、レースは赤旗中断となります。

その後1時間以上の中断を挟み、残り9周からレースが再開されました。

ダニエル・ティクトゥムは危なげなく、スタート成功。抜けない山側でペースを抑えつつ、抜きやすい海側でペースを上げる走りを見せます。

9周目、またしてもクラッシュが発生。3度目のセーフティーカーランに入ります。

レースは時間制限に変わり、残り5分55秒から再開されました。

3度目の正直と行きたい、2番手ジョエル・エリクソンがリスボアコーナーまでにダニエル・ティクトゥムの横に並びかけますが、完璧な防御を前に、抜くことが出来ず順位は変わりませんでした。

その後は、後続をじわじわと引き離しトップチェッカーを受けました。

ダニエル・ティクトゥムはなぜ、完璧なレース運びで勝てたのか?現役レーサーである僕なりの視点で探りました。

  1. 他のドライバーとの違い
  2. 精神的な成熟

僕は、この2点で他のドライバーの一つ上を行っていたように感じました。

 

他のドライバーとの違い

まず、大きく違うなと感じたのは、S字の走り方です。ここは、定点カメラがドライバーの走りを間近で捉えることが出来るため、走りの違いが良く見えます。

ここでダニエル・ティクトゥムは、1つ目のコーナーを走っているときに、2つ目のコーナーを見ています。

いわゆる、

  • 視点を遠くに置く

という意味です。

レース経験者や、アドバイスを受けたことのある方なら聞いたことがあるフレーズだと思います。

今回のマカオGPでも、意外とこれが出来ているドライバーは少なかったです。特に、レース後半になってくると体力が切れてきたのか、2つ目のコーナーを向いていないドライバーが増えてきました。

 

ダニエル・ティクトゥムのS字

ダニエル・ティクトゥムのS字
S字1つ目のクリッピングポイント
出典元:BSフジ
ダニエル・ティクトゥムのS字(2枚目)
クリッピングポイントを通過すると同時に次のコーナーを見ている
ダニエル・ティクトゥムのS字(3枚目)
完全に次のコーナーの準備が出来ている
後続のドライバーはクリッピングポイントを過ぎても左側を向いている
後続のドライバーはクリッピングポイントを過ぎても左側を向いている

ダメなS字の例

ダメなS字の例
クリッピングポイントを過ぎても左側を見ている
ダメなS字の例(2枚目)
こちらのドライバーもまだ左側を見ている

視点を遠くに置くメリットは、次のコーナーの準備が出来ることです。コースを知っているだけではいけません。目で見た情報でなければ体が上手く反応出来ないからです。

マカオGPのような狭い市街地コースであるほど小さなラインの違いがタイムに大きく響いてきます。

「あと3㎝壁に寄せたい」「あと30㎝奥でブレーキングしよう」など、小さなドライビングの改善をレース中にもドライバー達は欠かすことなく取り組んでいます。その精度を高めるために、視点を遠くに置くといったことは欠かすことのできない技術になってくるのです。

 

実際にドライバー側から見たS字

個人的に上手いと思ったカラム・アイロットのオンボードで解説します。

実際にドライバー側から見たS字
S字1つ目のクリッピングポイント
ここで次のコーナーを見る準備が出来ていなければならない
出典元:BSフジ
カラム・アイロットのオンボード
D・ティクトゥムはこの辺りでは完全に次のコーナーを見ている
次のコーナーへの姿勢作りが始まる
次のコーナーへの姿勢作りが始まる

どうでしょう?早い段階で次のコーナーの準備をしなければ良いコーナリングに繋げられません。次から次へとコーナーの準備が必要なマカオGPこそ、視点を遠くに置く技術は重要になってきます。

 

精神的な成熟

もともとは“超”問題児

ダニエル・ティクトゥムに詳しい方は、まだまだ少ないと思われます。

彼は、カートからフォーミュラカーシリーズにステップアップした2015年、タイトル争いをしていたライバルと接触した際、セーフティーカーラン中にイエローフラッグ無視13回、ダブルイエローフラッグ無視4回、ホワイトフラッグ無視2回、SCボード無視15回、最後はライバルに衝突し、2年間の出場停止処分を受けました。

それから、精神的に成長をした彼は、2016年後半からレース復帰が許され、複数のヨーロッパ上級フォーミュラシリーズにスポット参戦を始めました。

ランボルギーニを乗り回して警察に目を付けられることもある、問題児だった彼ですが、2017年のラッキーボーイとも呼ばれたマカオGP初優勝を機に、少しずつですがトップドライバーへの道を歩んでいるように見えます。

2018年は日本のスーパーフォーミュラにもスポット参戦し、ファン対応が素晴らしかったとSNS上で話題になることも多く、問題行動はミック・シューマッハのことを「政治的な力のおかげでチャンピオンを獲れた」というような言い回しで批判したくらいでした。(まだまだ問題児ですね笑)

 

大人のメンタルで戦ったレース運び

今回のマカオGPは予選から黄旗・赤旗が出され難しいアタックでしたが、コースレコード。予選レースも1周目で抜かれても落ち着いて抜き返し、セーフティーカーランが入っても完璧なリスタート成功で難なくトップチェッカー。

決勝レースも、3回のセーフティーカーランが入るものの、1度も抜かれることなく余裕のトップチェッカー。

1位はスリップストリームが使えないためリスボアコーナーまでで抜かれやすいのですが、予選レースの1周目だけしか抜かれなかったのは流石だと感じました。

レース中もミスが無く、ペース配分も、抜きにくい山側で抑え、ストレートが多く抜かれやすい海側で引き離せるよう、山側後半からペースを上げる走りは、「レースを支配している」と思わせる走りでした。

精密機械のように安定したペースと、何度でも上手く後続のタイミングを外してリスタートで後ろを引き離す技術・感覚がタダものではないドライバーだなと感じました。

今後の活躍が楽しみなドライバーですね!

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